耐震性とインスペクションについてお話させて頂きます。
耐震性には1981年(昭和56年)6月1日以降に確認申請を取得し建てられた物件は新耐震基準で建てられており、一定以上の耐震性を持っていると考えられています。
また、2000年にも大きな耐震基準の改訂がありました。ここを境に木造戸建て住宅の耐震性がさらに向上しています。従って、中古戸建て購入では、最低でも1981年以降の物件、さらに2000年以降の物件ならなお安心だと考えてよいでしょう。ただし、それ以前に建てられた物件でも、耐震診断、耐震補強が済んでいれば安心です。もしくはそれらの改修を行うことを前提に、購入時にその費用を見込んでおくとよいでしょう。
また近年では、中古住宅を売買する際のインスペクションが注目を集めています。この数年間で活用例がかなり増えてきたほか、2018年4月1日にはインスペクションへの対応に関する改正宅地建物取引業法が施行されることになりました。
住宅におけるインスペクションは、建物に精通した者(建築士など)が第三者的な立場で、劣化の状況や欠陥の有無などを調べ、修繕や改修、メンテナンスをするべき箇所やそのタイミング、住宅の取得後にかかる費用等を明確にするものです。
戸建て住宅のインスペクションの主な対象箇所以下のものがあります。
1.構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの
基礎、小屋組、柱、壁、梁、床、床組、土台
2.雨漏り、水漏れが発生している、または発生する可能性が高いもの
屋根、外壁、屋外に面したサッシ等、小屋組、天井、内壁
3.設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの
給水管、給湯管、排水管、換気ダクト
売買をする前にインスペクションを実施して建物のコンディションを把握すれば、直すべき箇所の有無や修繕に必要なおおよその費用をあらかじめ知ることができ、建物の質を踏まえた購入の意思決定や、売買価格が妥当かどうかの判断もしやすくなります。
購入に合わせてリフォームを予定する場合でも、その資金計画が立てやすくなるでしょう。築年数の古い住宅なら「あと何年くらい使えそうか」といった判断材料にもなります。また、インスペクションの実施を前提とした保険に加入することで、引き渡し後に何らかの欠陥が見つかった場合に備えることもできます。
売主にとっても、あらかじめインスペクションを実施することで取引の安心感が生まれるでしょう。
また、日本の全住宅流通量(中古住宅及び新築住宅)に占める中古住宅の流通シェアは約13.5%(平成20年)であり、近年ではシェアは大きくなりつつあるものの、欧米諸国と比べると1/6程度であり、依然として低い水準にあります。
これまで行われてきた住宅投資額の累積と、住宅ストックの資産額を比較すると、米国では、住宅投資額に見合う資産額が蓄積しているのに対し、日本では、投資額の累積を約500兆円下回る額のストックしか積み上がっておりません。
少子高齢化が進行して住宅ストック数が世帯数を上回り、空き家の増加も生ずる中、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会に移行することが重要であり、政府としても、中古住宅流通・リフォーム市場の環境整備を目的として以下の計画を進めています。
住生活基本計画(全国計画)(平成23年3月15日閣議決定)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/jyuseikatsu/hyodai.html
(関係部分:本文3ページ目)
また、建物だけではなく地盤のにも注意が必要です。「軟弱地盤」「造成地の盛土部分」「液状化しやすい」に該当しないか確認が必要です。
簡単な調査であれば地盤サポートマップで確認はできます。
地盤サポートマップ
地盤サポートマップで簡易的な確認はできますが、自宅の購入は大きな買い物ですので、もし心配であれば地盤調査を業者に依頼することをおすすめします。戸建て住宅なら簡易なスウェーデン式サウンディング試験でよいでしょう。
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